漢方Q&A

 

東洋医学の治療概念についておしえてください
 一言では申せないほど膨大な概念がありますが、ごく簡単に触れますと、東洋医学ではまず人の身体を虚(きょ)と実(じつ)、つまり頑強が虚弱かに分けます。さらに、体内環境を「気血水(きけつすい)理論」でとらえ、両者を付き合わせてその人の病的な状態を評価します。その上で、その人に合った漢方薬を選択します。

 

虚実ってなんですか?
 虚実というのは、その人の体力、抵抗力の強さということができます。たとえば、プロレスラーのような体格の人は体力もあり抵抗力も強く、こういった人は「実証である」といいます。「証」というのは「状態」とほぼ同じ意味です。一方、痩せて体力のない、抵抗力の弱そうな人は「虚証である」といいます。また、実証でも虚証でもない中肉中背の人は「虚実中間証」といいます。
 なぜこのような分け方をするかといいますと、漢方薬には実証用の強い薬と虚証用のマイルドな薬があるからです。実証の人に虚証用の漢方薬を使っても弱すぎたり効かなかったりしますし、虚証の人に実証用の漢方薬を使ってしまうと、薬が強すぎてかえって身体を壊してしまうことになりかねません。

 

気血水理論についておしえてください
 東洋医学では、人は気(き)と血(けつ)と水(すい)のバランスの上に成り立っていると考えます。人の身体においては気、血、水が絶えず滞りなく循環していて、健康とは、それぞれがバランスよく身体の隅々まで過不足なくスムーズに巡っている状態で、一方、病気とは、気、血、水、の流れが滞ったり、身体の一ヶ所に集中したり足りなかったり、流れが多すぎたり少なすぎたりして3者のバランスが崩れた状態であるととらえます。

「気(き)」についておしえてください
 「気」とは人間をいかしているエネルギーのようなもので、目には見えないとされています。「気」は経絡に沿って身体の中を巡っています。「気」の病的状態は、たとえば、下半身から上半身に過剰に突き上げてくると、更年期女性に見られるような「のぼせ」や精神不安となり、下半身で不足すれば「冷え」となって現れます。現代医学に「気」に相当する概念はありません。 うつ病は、この気が足りなかったり滞ったりした状態、不安や焦燥、パニック発作は逆流した状態ととらえ、その修正に見合った漢方薬、たとえば半夏厚朴湯や香蘇散などを使います。