治療について


 低血圧・起立性調節障害の治療は全人的に行わなければいけません。薬物療法のみといった、ある一面だけを見た治療では不十分で、中でも向精神薬のみによる治療は危険でさえあります。
 自律神経・血液循環という点ではエルゴタミン製剤やアメジニウム、ミドドリン、コエンザイムQ10などを使います。全身倦怠や午前の不調の強い場合はビタミンの大量療法を行います。
 低血圧・起立性調節障害は複合的な要因により成り立っていると述べましたが、それは身体の血液や水分、そして気持ちのバランスが崩れた状態であるとも言えます。そのような状態には東洋医学が威力を発揮します。漢方薬や鍼灸は、ときに治療のメインとさえなります。
 心理・社会的な問題においてはカウンセリングが重要です。患者様本人のみならず、親や周囲の人への病気の理解の徹底をはかり、あらぬ偏見を抱かないようにしていただかないといけません。本人には、病気のメカニズム、性格要因との関連、病状を悪化させているストレス対処のまずさなどを認識し改善していきます。